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純谷吉松(Itoya Kichimatsu)


■1999年11月のニュース一覧
▼[1999.11.30]日本一の小売り店舗として
▼[1999.11.28]これがセガの生きる道
▼[1999.11.27]「ハロー,ナビ」
▼[1999.11.26]ゲームの中の殺人犯を捕まえるのは誰?
▼[1999.11.25]絶対帝国的Yahoo!王朝
▼[1999.11.24]外観あっての中身?
▼[1999.11.23]The Day Tokyo Stood Still
▼[1999.11.22]今,その猿ぐつわを外す時
▼[1999.11.21]花火の照る空
▼[1999.11.20]巨人の緻密さ
▼[1999.11.19]未知の大地で生き抜く術
▼[1999.11.18]世界恐慌の引き金を引く
▼[1999.11.17]20年目の扉
▼[1999.11.15]推理小説をつづるコムデックス
▼[1999.11.14]無意識のネットワーク
▼[1999.11.13]フライングトースターに乗って
▼[1999.11.12]流通支配の法則
▼[1999.11.11]パソコンなんていらない
▼[1999.11.10]冠を捨て大海原に飛び込む勇気
▼[1999.11.09]宇宙への回帰
▼[1999.11.08]エモーションハイブリッドアクアリウム
▼[1999.11.07]「独占」という名の罪と罰
▼[1999.11.05]素晴らしき「誰もが」の世界
▼[1999.11.04]次の次のOS
▼[1999.11.03]冒険心
▼[1999.11.02]なじみ(743)になった私財法
▼[1999.11.01]上位階層としてのワイヤード

■1999年12月のニュース一覧
■1999年10月のニュース一覧

  [1999.11.30]
  日本一の小売り店舗として


 ▼誰でも出品できる“フリマ感覚”のネットオークション(Impress INTERNET Watch)
  http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/article/1999/1129/auction.htm


 三越が取り扱っている商品数はいくつなんだろう。高島屋は? 西武は? 近い将来,日本一の小売り店舗は,ネット上にありそうだ。もちろん,あなたもその店員として。

 “競り”という一般の人に馴染みの薄い売買形式を身近なものにしたネットオークション。今ではオンラインショッピングの1ジャンルとしても定着している。個人でも無料で出品できるサイトもあり,フリーマーケット感覚で商品を出している人も多い。自分が出した商品にどれだけの値がつくか楽しみで何度もアクセスしてしまったり,自分にとってはまったくの不用品であるものに,以外と高い値がついたりすることもある。だが,その後の商品の受け渡しでトラブルが生じることも多い。

 先日のヤフー!ジャパンの機器トラブルは,ヤフー!オークションの人気が予想以上だったことも原因のひとつだったようだ(過去記事)。それだけ,需要は高く,瞬く間に定着していく感じ。売るのも買うのも手軽だし,入札されていく過程はゲームのような楽しさもある。実際に商品を見ているだけでも,珍しいもの,意外な高値がついているもの,入札が集まっているものと全然ないものがあって,楽しい楽しい。

 米国ではオークションサイトの本家本元であるイーベイの話題はたえない。技術者チームが売りに出されたり,人の腎臓や出生前の赤ん坊が売りに出されたりして,入札中止になるなどの事件も起きている(過去記事)。細かいトラブルが起きるのは,それだけ気軽に参加できることの裏返しだ。そして気がつけば,オークションサイトは,リアルワールド・ワイヤードの区別なく,日本でいちばん大きい小売り店舗になっていく。全員がお客さんであり,全員が店員でもあるんだからね。




  [1999.11.28]
  これがセガの生きる道


 ▼東京・大阪のゲーセンで対戦 セガが光ファイバーで実現へ(asahi.com)
  http://www.asahi.com/paper/media/misc99/misc991127a.html


 プレステ2が来年3月にネットワーク機能を持っていたら,通信速度の改善,通信料金の改善は急務となろう。日本の通信業会全体に,圧力がかかる。だが,ソニーはそれをしない「軟弱な」姿勢をとった。他社は,十分にそのスキを狙える。

 セガ・エンタープライゼス社が26日発表した中間期損益は,191億円の赤字に転落した。これを受け,ネットワーク事業部門をCSKグループに営業譲渡,ソフト開発部門を10数社に分社化する案が発表された(Bloomberg.co.jpの記事)。同時に,ゲームセンターの運営部門を東西に分社化。東京と大阪の10数店舗を光ファイバーで結び,対戦ゲームなどができるようにする。

 マイナスイメージの強いニュースとなっているが…。ハード・ソフト・アミューズメント施設とすべてを抱え込んで肥満化している企業を分社化し,従業員を4,000人弱から1,000人にまで減らすというのは,良い傾向と感じられる(損害はない)。ソフト開発部門は,SCEIも積極的に分社化しているように,これも良い傾向(倣うべきは倣ったほうが良い)。ドリームキャストの販売自体は伸びているし(値下げが強い要因だろうが),海外での大人気も心強いし(CNET Japanの記事),前評判の高いソフトの発売も控えるいるし…。

 プレステ2への期待感が高まっているのは痛いほど感じるが,プレステ2は現代のゲームハードウェアとしては大きい欠陥を持っている。それは,ネットワークの不在だ。ネットワーク機能がつくのは2001年以降になるという(CNET Japanの記事)。とても来年発売するゲーム機とは思えない不備だ。セガの最大のアドバンテージはそこにある。やきゅつくぐるぐる温泉などネットワークでおもろさが倍増するゲームに,ゲーセンでのネットワーク対戦,ネットワークゲームができる携帯電話の開発と,これがセガの生きる道になる。その道は,大きく大きく広がっているんだから。




  [1999.11.27]
  「ハロー,ナビ」


 ▼PDAのようでPDAじゃない?!サブノートのようでサブノートじゃない?!(CountMac)
  http://www.pascal.co.jp/countmac/cm991115.html


 その画面の中の,秘書のような,執事のような人物は,「フィル」という名前だった。本当に近い未来,フィルに会える日が,やってくる。

 アップル社のハンドヘルド機についての噂が多く出てきている。だが,ハンドヘルド機にする最大の問題は,大きさ。ノート型よりも小さくするにはキーボードを排し,手書き文字認識か音声認識を搭載することになる。そんなハンドヘルド機の噂が実現すれば,アップル社が過去に掲げた,ナレッジナビゲータの原形がお披露目されることになる。それは近日中の実現は難しいが,決して不可能ではない。

 アップルが1988年に発表した未来の端末が,ナレッジナビゲータだ。コンピュータの最終形態,マッキントッシュの目指す果てとして,ナレッジナビゲータはあった。“ナビ”の画面には一人の人物(エージェントと呼ばれる秘書のような存在)が座っていて,彼に話しかけ,彼がそれに音声で答えていきながら,操作されていく。

 「ハロー,ナビ」と話しかけると「ハロー」と答える。「メールは来ている?」と訊くと「3通届いています。読みますか?」と訊いてくる。「この論文に反する意見が3年前くらいにあったような気がするんだが…」と悩んでいると「データベースには4年前にケン・モールトン博士が反対する論文を書いています。その論文をダウンロードしますか?」と答えてくれる。そこには,現在のコンピューターとの接し方のパラダイムをくつがえす,異質ななにかがある。その異質さとは,コンピューターとの本当の意味での接続,を示している。そんな未来へ,あと一歩。




  [1999.11.26]
  ゲームの中の殺人犯を捕まえるのは誰?


 ▼再び高まるバイオレンスゲーム批判 (ZDNet News)
  http://www.zdnet.co.jp/news/9911/25/b_1124_03.html


 TVドラマの中の殺人犯人を,リアルの警官が逮捕しに行く? ゲームの中の殺戮勇者が,リアルの法定で裁かれる?

 年末商戦期に入り書き入れ時のゲーム業界に,上院議員と暴力に反対するロビイング団体が,暴力的な内容のゲームを開発しているメーカーを批判した年次報告書を公表した。またニューヨークでも,ゲームの暴力性についての公聴会が開かれ,批判が繰り広げられた。ゲーム業界は,批判のたびに返答を余儀なくされている。「我々の扱っている暴力は,とても漫画的であり,ファンタジーとして扱っていると云ってもいい」「暴力的な物を含んでいるゲームには,その旨の注意書きを付けて明確化している。それを参考に区別して欲しい」。

 日本でも同じような動きは見られ,あくまでも自主的なものだが,日本のゲーム業界をしきっているCESAは9月に,より強い倫理規定の導入を発表した(CESAのリリース)。ゲームがすべて,道徳的に正しくって,正直で,生真面目で,品行方正で,ちょっとの怠惰も嫌悪感も破壊も否定するものだとしたら,ゲームなんか全部投げ捨てて,聖書でも読んでたほうがいい。

 劇場で,残忍な殺人事件の舞台が演じられる。実際には演技なのだから人は死んでいないが,その迫真の演技に疑いを持った観客の一人が,その殺人を警察に通報した。警察は検証を行ない,その動作から殺人犯は本当の殺意を持っていたと認定して,手錠をはめる。そして,リアルの裁判所へと送る…。それとおんなじであろう,これらの批判はやむことがない。ゲームに対する批判は,ゲームの場でやってもらいたいものだ。暴力を振るうキャラクターを裁判にかけて有罪にするゲームを作るとかね:-P。




  [1999.11.25]
  絶対帝国的Yahoo!王朝


 ▼Yahoo!JAPAN、掲示板やオークションなどで大規模な障害発生(Impress INTERNET Watch)
  http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/article/1999/1124/yahoo.htm


 他の検索サイトポータルはどうなってるの。インフォシークはどんどん使いにくくなってる気がする。エキサイトは二番煎じの手ばかり。ライコスはお金をかけてる割には特色が全然見られない。グーはコンテンツが充実するにつれて検索結果が落ちてきてるし…。やっぱりネット上の人は,ヤフー!に集まってしまうのか?

 22日午後21時30分ごろ,ヤフー!ジャパンのID情報を保存しているハードディスクが破損した。この結果,ヤフー!ジャパンIDを利用したサービスが全面的に利用できない障害が発生した。原因は,ヤフー!オークションなどのサービスへの急激な利用者の増加がサーバーを圧迫したとみられている。ヤフー!オークションは,サービス開始1ヶ月で,開催されるオークションが5万件を突破するなど好調な出足を見せていた。

 ヤフー!ジャパンは変わらぬ急成長を遂げているが(ヤフー!ジャパンの今年の株価指数の推移。急上昇がうかがえる),その中でもやはりオークションの大ヒットは驚異的だった。参加型のコンテンツとしては,他にもゲームや掲示板などが存在するが,本当に手軽に,物を売る買うという物理的な参加ができることがウケているのだろう。米国ヤフー!の同じサービスも,本家本元とも云えるeBayに匹敵する存在にまで成長している(ZDNet Newsの記事)。日本では,そのあまりのユーザーの急増ぶりが今回のトラブルに繋がったようだが…。

 それにしても,ヤフー!ジャパンのお詫びと説明を読むと,「ハードディスクが破損」とある。ハードを破壊するほどのアクセスの急増ってどんなんでしょうね,想像つきません(^^;。まぁそれはともかく,現在も一人勝ち状態のヤフー!は,オークションをきちんと機能させることで,絶対帝国的な地位をさらに高める。他のポータルとの差は,どんどん開いていっちゃうねぇ,もうちょっとがんばってよ,ヤフー!を目の敵にしてるライコスさんあたりが(^_^)。




  [1999.11.24]
  外観あっての中身?


 ▼Linux用GUIの開発者がオープンソース・ソフト会社を設立(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/3383.html


 人間,中身がちゃんとしてたって,見た目,外見,体裁,見掛け,見てくれが重要なときもある(^^;。クライアント機でその地位を確立するには,そっちの方が重要であることが多い…。

 リナックス用のGUI「グノーム(GNOME)」を作成し,無償配布しているプログラマー,ミゲル・デ・イカーサ氏が,リナックスベースのソフト開発会社を設立した。新会社はグノーム用の,MSオフィスのようなアプリケーションを作成している。ソフトは無償配布され,新会社はグノームおよびグノームアプリケーションのサポートで収益を得る。

 リナックスに関する話題は「本物」の域に入ってきている。ただの「ブーム」や「流行」としてではなく,クライアント機への定着に繋がる動きが増えている。今まで,リナックスの大きな弱点は,GUI環境の弱さ,ソフトウェアの不足,サポート環境の不在ということだった。「だった」というのは,今,大きく状況が変わってきているからだ。

 「レッドハット・リナックス 6.1 日本語版」を出荷したレッドハット社,「ターボリナックス for パワーPC Ver.3.6」を年内出荷予定のターボリナックス社,「オープンリナックス2.3」日本語版の開発を進めているネオテジー社,レッドハットから別れたカタチのレーザー5社の「レーザー5 リナックス6.0」と,日本語環境への歩み寄り,サポート環境の充実は目を見張る。日本での商用ソフトウェアも,ジャストシステム社のATOK12 SE for リナックス,IBM社のインターネット翻訳の王様などが顕著な例。デ・イカーサ氏の新会社もあって,クライアント用のソフトが出揃うのに時間はかからないだろう。ただ,デ・イカーサ氏のGUIを作って,ソフトを作って,という道順の正しさをもっと認識しなくてはいけない。グノームは日本語にも対応しているので,こっちの方がもっと進んでくれれば,クライアント機への普及の起爆剤となることも考えられる。




  [1999.11.23]
  The Day Tokyo Stood Still


 ▼自衛隊機墜落で2人死亡,80万世帯が停電(asahi.com)
  http://www.asahi.com/1122/news/national22024.html


 「このジオフロントは外部から隔離されても,自給自足できるコロニーとして作られている。そのすべての電源が落ちるという状況は,理論上ありえない」。そう,ありえない。だが,ありえないと考えたときに,復讐がやって来る,いつも。

 22日午後1時40分ごろ,東京都心から埼玉県南部にかけての広い範囲で停電となった。これは埼玉県狭山市の入間川河川敷に,航空自衛隊の練習機が墜落し,高圧電線を切ったことが原因。一時,JR武蔵野線,営団地下鉄有楽町線などが停止し,一部では交通信号機が作動しなくなった。またエレベーターが止まったり,給水が停止するなどの影響も出た(asahi.comの記事)。

 私がいた場所も,停電となった。はじめはビルの電源が落ちたのかと思ったが,向かいのビルの様子も慌ただしい。よく見ると喫茶店やコンビニなども電気がついていない…。付近一帯が停電になっていると認識するには時間が必要だった。当然,そんなことが起こるとは考えもしないからだ。近くにサーバーがあったのだが,これは予備電源を備えていて,正規に終了してから停止するようになっていたので一安心。って,やっぱり止まるのだから問題ありか。結局20分ほどで回復したのだが,エレベーターも止まってしまったし,当然パソコンも使えない(←当然)。後ほど,ラジオの交通情報では,各地で交通信号が消えており,警官が手で誘導しているという。

 頭の中にあったのはエヴァンゲリオン第11話「静止した闇の中で」だった(^^;。正・副・予備と3重の電源回路を備えている第3新東京市,そのすべての電源が落ちる。そこに使徒襲来。すべて人力でエヴァンゲリオンを発進させる…。あの時,シンジ君たちはどうやってネルフ本部に入っていったんだっけかな,なんて考えていると,それとおんなじことが起こっていることが,やっぱり信じられなかった。これはアニメじゃない。リアルの脆弱さを,ふと感じる一時でした。




  [1999.11.22]
  今,その猿ぐつわを外す時


 ▼パソコンと口げんかも可能?〜音声認識ゲーム(Nikkei PC-Gaz!)
  http://pcgaz.nikkeibp.co.jp/pg/pcgaz/pla/col/1/col_18.html


 「おれはしゃべりたいんだ。しゃべってこの想いを伝えたいんだ。なのに…,どうしてこの世界では,こんな猿ぐつわをはめていなくちゃいけないんだ!」

 プレイヤーの声を認識するゲームの普及は,1999年ゲーム界の最大の話題のひとつだ。任天堂の「ピカチュウげんきでちゅう」やセガの「シーマン」がヒットした。パソコンでもいろいろなゲームが見られるようになったが,わざわざ音声認識にしなくてもいいというソフトが多い。今後,声を使うことで楽しさが飛躍的にアップするゲームを期待したい。たとえば女の子に声をかけて口説いていく恋愛シミュレーションゲームなど,そう遠くないうちに登場してもおかしくはない。

 我々はワイヤードで,どこまで自らをメタファライズできるのか。たとえば基本となる,感情表現,意思伝達において。我々は,文字でしかそれを伝えることができない。メールにしても,チャットにしても,ホームページにしても,これだけ文字があふれているのに,声を聞くことはできない。誰も,声を発することはできない。ワイヤードでの我々のメタファライズレベルは,唖(おし)でしかない。

 人はこれだけリアルで話し好きなのに,誰がワイヤードで猿ぐつわをはめたのか。ゲームでも,少しずつその猿ぐつわを外す作業が進められている。ワイヤードでもボイスチャットなどで同様の動きがある(過去記事6/23)。Mac OSに音声認証が加えられたのも記憶に新しい。あとは,我々が,自らの手で,猿ぐつわを外せばいい。デジタルのレベルの向上は,_自由_を得るために,あるんだから。




  [1999.11.21]
  花火の照る空


 ▼Dreamweaver3 & Fireworks3のファーストインプレッション(digitalians.com)
  http://www.digitalians.com/feature/Macromedia/index.html


 この空は,それほど大事に思われていないのかもしれない。紙という名の大地の,はるかに「下」にあるものという意識がどこかにある。だから,ダメなウェブがあちこちにあふれてる。彩るステキな花火はあるのに。

 12月に発売が予定されているマクロメディア社のHTMLエディター「ドリームウェーバー3」とウェブグラフィックソフト「ファイヤーワークス3」。ドリームウェーバー3は,ウェブページ制作者がいちばん使っているツールは実はテキストエディタであるという現実を認識した製品だ。3では,JavaScriptでの操作のスクリプト化,マック版の動作速度の改善,MSワードの書きだしたHTMLのクリーンアップ機能,などの機能強化が行われている。ファイヤーワークス3は,ドリームウェーバーとの連携強化,色調関連のメニューの追加,マックとウインドウズの双方でのガンマプレビューなどで,アドビ社のフォトショップとの勝負をあらわにしている。

 古い考えの人間から云うと(^^ゞ,現在市販されているHTMLエディターで頭を下げてお礼を云いたくなるソフトというのは存在しない。インチキな,またはスマートでないタグを使う。頭の悪いソースの書き方をする。細かい部分の修正ができない。そんななかでまぁ唯一使えるかなというのがドリームウェーバーである。まっ,この話はまた今度。

 グラフィックデザインを行なう人間は,今や盲目的にフォトショップを使う。もちろん,フォトショップが紙とディスプレイの上で,もっとも高機能で高性能なグラフィックソフトであることは間違いない。だが,それはウェブの道具として最適かどうかは一概に云えない(過去記事)。記事中にもあるがウェブという土俵で,素直に戦えばFireworksの勝ちは当然と思える。だが,人々は「慣れ」でフォトショップを使い続ける。だがその「慣れ」は,ウェブというものに対する価値基準の低さでしかない。デザインに優れたウェブが,ウェブとしての基本ルールを知らない作りになっている,というのはそうしたところにも根差している。(記事ネタ元参照m(_ _)m:なりなりヘッドライン!さん)




  [1999.11.20]
  巨人の緻密さ


 ▼POWER版のWindows2000開発構想が急浮上(Nikkei BizTech News)
  http://biztech.nikkeibp.co.jp/wcs/show/leaf?CID=onair/biztech/gen/86920


 数年後,サーバーはより「ハード」な作りを要求されるだろう。今よりも膨大な数のアクセスとリクエストをこなし,より高速高機能の処理を要求される。その根幹となる64ビットCPUは,今,緻密に,緻密に,設計していかなければいけない時期なのだ。その将来に,確実に動作するために。

 マイクロソフト社IBM社に対し,64ビット版ウインドウズ2000の対象プロセッサーに,IBM社のパワー4チップを加えようと要請したようだ。現在64ビット版ウインドウズ2000の対象プロセッサーには,インテル社のアイテニアムが出荷を予定しているが,いまだ所定の処理性能を発揮できるか未知数のため,マイクロソフト社は保険として,パワー4向けウインドウズ2000の開発計画を持ちかけたとみられている。

 64ビットチップにまつわる話も,だんだんと現実味を帯びてきた。インテルのアイテニアムは,理論上6ギガフロップ(1秒間に60億回の演算),4つの整数ユニットと2つの浮動小数点ユニットという2つの構造を備える。対抗するカタチのAMDは,スレッジハンマーを2001年には登場させると計画している。コンパックのアルファチップは現時点でもっとも完成度が高いと云われ,2,3年のうちに1.6GHz以上の速度での登場を予定している。そして,IBMのPower4。トランジスター集積数は1億7000万個。2基のCPUで汎用性を高め,高速なキャッシュメモリをもちいた「スマート・キャッシング技術」をパッケージする。私のような素人が話を聞いていちばん面白そうなのは,やはりPower4だ(unigram・xの記事)。

 現在,IBMはマックの最上位チップのG4からは身を引いているが,それはG3チップでまだまだ大きな技術の前進を見込むことができ,それが将来的にも(すなわち64ビットチップの製造にも)役に立つと踏んでいるからだ。パワー4でも採用される見込みのSOI技術(プロセッサーにシリコン酸化物層を加えて絶縁体を作り,高速化と発熱の抑制を可能にする)は,まずG3で試され,それにより700MHzのG3チップが年内にもリリースされるという予定もある。丹念に外堀を固めていき,確実に完ぺきなチップを作り上げていく緻密さが感じられる。ウインドウズ2000の移植などに惑わされず(^_^),その緻密さを突き進んで欲しいのだがネェ。




  [1999.11.19]
  未知の大地で生き抜く術


 ▼謎に包まれたトランスメタの詳細が徐々に明らかに(CNET Japan)
  http://japan.cnet.com/News/1999/Item/991118-5.html


 「孤島に投げ出されて救い出される望みもないのは最悪だが,仲間たちのように溺れ死なずに生き続けていることは最良のことだ」とロビンソン・クルーソーは,困難な状況の中を軽妙に生き続けた。それは,トランスメタの,秘密を徹底しつつ,HTMLソースの中で遊ぶ軽妙さに,どこか似ている。

 ラスベガスで開催されているコムデックス/秋展示会で15日,謎に包まれた新興企業トランスメタ社のメンバーで,リナックスOSの創始者のリーナス・トーバルズが基調講演を行なった。そのなかでトーバルズは,トランスメタ社が「ソフトウェアで作られた,初のスマートなCPU」を開発していることを明らかにした。講演後,トランスメタ社のホームページでは,無人島の絵と「クルーソー」というプロセッサーを来年1月19日に発表することが予告され,「クルーソーは従来のものとは違う,モバイルのためのクールなハードとソフトになるでしょう」との秘密のメッセージが,HTMLソースの中に掲載されている。

 自らの秘密を徹底して守り続けるトランスメタ社(過去記事9/2610/03)。今まで付与された特許をもとに予想されていたことが,正式に発表された。でも,ちょっとだけ…。すなわち,Windowsがインテルチップに与える命令,リナックスがインテルチップやPowerPCに与える命令,はたまたマックOSがパワーPCチップに与える命令を,ソフトウェアでトランスメタのチップが理解できるように翻訳し,どんな命令でも受け入れられるようにするという,未知のチップ・システム(もちろん,今はまだ予測でしかないが)。それが「クルーソー」だ。

 ロビンソン・クルーソーは,無人島に漂着した後,自分で道具を作り,家を建て,地図を作り,食料を調達するなど,すべてを自らの手でまかなった。その力を与えたのは,彼の「生きたい」という強い気持ちと,「決してあきらめない」という負けん気の強さだった。そうしてその後,クルーソーは故国に戻り,大金持ちとなってハッピーエンドを迎える。トランスメタは,未知の大地に降り立ち,生き抜くべき強い意志を持ち,自らですべてを切り開こうとしている。さて,クルーソーにハッピーエンドは待っているかな?




  [1999.11.18]
  世界恐慌の引き金を引く


 ▼NASDAQのシステムが一時ダウン―ソフトアップグレードの最中に(ZDNet News)
  http://www.zdnet.co.jp/news/9911/17/nasdaq.html


 忘れられぬ教訓。今から5年前,1匹のリスが電源装置に入り込み,黒焦げになっている間に,ナスダックは完全に取引をストップしていた。バックアップ電源への切り替えに失敗したのだ。あの時と比べ爆発的に取引量が大きくなった今,もし同じ事故が起こったら,世界は混乱へと突き落とされる。

 米国最大の電子証券取引所ナスダックが,16日の午後3時40から17分間,システムがダウンし,取引を処理できなかった。ナスダックのスポークスマンは,午後4時の取引終了間際の大量の処理をするするため,ソフトウェアをアップデートする必要があったと述べている。この日,ナスダックは金利の引き下げなどを受けて,過去最高出来高の14億株を上回る,14億8000万株の取引を行なった。

 ナスダックは,テクノロジー関連企業が多く上場し,現代経済の一翼を担っている。米国の証券取引所では,ニューヨーク証券取引所に次いで2位の取引量をさばいており,もし,ここがトラブルに巻き込まれたら,ただではすまない。…ナスダックは取引を行なうのに,ひとりの人間も介さない。怒号も飛び交わなければ,電話も鳴らない。ただカチカチカチと,システムがディスクにアクセスする。そんなだからナスダックは信じられないほど堅牢なシステムを構築している。合計4つのバックアップ電源装置を持ち,6,7分もほっとくとオーバーヒートするシステムのため,2つの冷却装置を備える。

 その堅牢さは,もしこのシステムがストップした場合に,どれほどの混乱が起こるかを予期してのもの。経済的な混乱は,ささいな不安感が,世界的な恐慌をも引き起こす。ナスダックが,次の恐慌の発信源にならないとも限らない。ワイヤードの混乱が,リアルの混乱へと容易にシフトしうる,現在では,という一例。




  [1999.11.17]
  20年目の扉


 ▼マイクロソフトがウェブデバイスの詳細を明らかに(CNET Japan)
  http://japan.cnet.com/News/1999/Item/991116-2.html


 20年前には,イーサネットが紹介され,インテル8088プロセッサと,モトローラ68kプロセッサが最先端の技術として注目を集めた。それらの製品が,後にどれだけ普及したか。20年目のコムデックスは,また新たな扉を開く。

 マイクロソフト社のCEO,ビル・ゲイツは14日,コムデックス/秋の基調講演で,ウェブデバイス「MSNウェブ・コンパニオン」を2000年なかばに発売すると発表した。これはウインドウズCEを改良したOSを搭載し,マイクロソフトのMSNサービスに接続される。ノートパソコンに似ているが,画面つき電話機,ハンドヘルド・コンピューター,テレビ用セットトップボックスとしての側面も持ち,数年前にオラクル社の提唱したネットワークコンピューターのコンセプトも引き継ぐと見られている。

 20年目の扉を開いたコムデックスは,小型ネットワーク端末のニュースで幕を開けた。MSのウェブ・コンパニオン,そして,ソニーとパームの提携だ(CNET Japanの記事)。ハンドヘルドでトップを走るパームとしては,MSに対抗すべく,強い味方を得たことになる。かたやソニーとしてはメモリースティックの普及をもくろみながら,狙うは,パームOSを搭載したウェブデバイスか? 携帯ゲーム機か? はたまたその両方か?

 で,もうひとつのMSNウェブ・コンパニオン。記事中にプロトタイプ機の写真があるが,てんでんばらばらで,まだ何も決まってないっていう感じ,なんか妙にばかでかく見えるし…(^^;。だがMSの視界,というよりは業界全体の視界は定まっているのが感じられる。明らかに失敗に終わったウインドウズCEの再興と,パームのさらなる動き。ともに次世代ワイヤード端末としての争いが口火を切ったのだ。そしてその先には,常にワイヤードにアクセスでき,より手短にアクセスできる端末,果てはウェアラブルコンピュータまで繋がっているのだろう。開かれた20年目の扉,差す光の先は,見えている。




  [1999.11.15]
  推理小説をつづるコムデックス


 ▼COMDEXミステリー:Larry Volk氏の死(ZDNet News)
  http://www.zdnet.co.jp/news/9911/12/mystery.html


 多くの人が集まるコムデックス/秋,あるリセラーの殺人事件がいつも話にのぼる。隆盛を極めたPC業界の繁栄に,密着して進んできた推理小説。終わりのページが来るのは,いつ?

 9年前にラスベガスで,プログラマー兼リセラーのラリー・ボルク氏が後頭部を銃撃され死亡した。ボルク氏は,自分の会社が不正な利益を得ていたとの証言をしており,当局は,会社経営者の事件への関与を捜査したが,証拠は挙がらなかった。その後,ある浮浪者が犯行を自白したが,証拠不十分で無罪に。数年後,浮浪者が再び,経営者に近い関係だったギャングらが共犯だったと自白し,そのギャングも一部罪を認めている。だが当局は最近,経営者への容疑をまだ捨てていない発言を地元紙に語っている。この話題は,コムデックス/秋がラスベガスに来るたびに,語り継がれている。今年は,事件が解決したとして集まった人々の口にのぼるのだろうか。

 大小を問わぬソフトウェア,ハードウェア,チップベンダーが勢ぞろいする,ラスベガスでのコムデックス。今年も14日から開催されるが,各社とも新製品などの発表を予定しており,目が離せない(ZDNetのコムデックス特集ページ。14日夜には,裁判での事実認定後はじめて,MSのビル・ゲイツ会長が一般聴衆の前に立ち,基調講演を行なう)。毎年,各地から多くの人がラスベガスに集うが,その人たちは,推理小説の探偵のように,この事件について語り合うと云う。

 90年10月に事件が起き,92年9月には浮浪者が起訴された。不起訴でお蔵入りになるのかと数年が過ぎたが,97年9月には再自供と共犯者の存在が浮上。今年は事件解決かと思いきや,秋になって再び,当局が以前の容疑者に疑いの目を向けているとの話。まるでコムデックスに話題提供するかのように,秋口に事件が進んでいく。コムデックスがあってこの事件があるのか,この事件があってコムデックスがあるのか。…今年,コムデックスは20周年目の開幕を迎える。




  [1999.11.14]
  無意識のネットワーク


 ▼Webがまだ普及していない国を旅しながら考える(PC MAGAZINE ONLINE)
  http://www.zdnet.co.jp/magazine/pcmag/9911/dw991103.html


 世界中で示し合わせたかのように,人口が急増するときや,激減するときがあるという。ニュースネットワークがまだないのに,各地で政変や革命が頻発した時代もある。それはもしかしたら,地球を覆う無意識のネットワークによって,人々に伝わっていったのかもしれない。

 アルゼンチンのブエノスアイレスは巨大かつ立派な国際都市だが,まだインターネットが普及していない。そこでは,コンピュータを触るなんて考えが,滑稽に思える。あのWWWたちはみんな,どこに行ったんだ? まるで1993年に戻ったみたいだ。将来,ブエノスアイレスもインターネットの波に追いつくだろう。

 まだネットワークが普及していないときのことを,あなたは思い出すことができるだろうか? 私は,ついこの前までそうだったと思いながらも,どうも不明瞭な感じにその時の風景がかき消されてしまう…,そしてこう思う。もしかしたら,パソコンとモデムとブラウザなどを使う前の,太古の昔から,意識することのないネットワークは存在していたのかもしれない,と。

 電話線,ケーブル,無線,衛星などのラインが整い,最終経由地であるプロバイダーが整い,発信元であるサーバーが整い,初めて我々はネットワークを意識できた。だが,その前から,人の無意識と無意識が繋がりあったネットワークは,既に全地球上を覆っていたのかもしれない。人間とは,そのネットワーク下に配置された,小さな小さな端末,でしかないのかもしれない。もしそうなら,そのネットワークを作ったのは,誰? 神様? 人間? それとも?(記事ネタ元参照m(_ _)m:すてっぷ ばい すてっぷっ!さん)




  [1999.11.13]
  フライングトースターに乗って


 ▼「After Dark 日本語版」のMac OS 9対応について(MacWIRE ONLINE)
  http://www.zdnet.co.jp/macwire/9911/12/n_afterdark.html


 街の灯の消えた夜,とある店頭がマッキントッシュでディスプレイをしていた。そのモニタには,フライングトースターがゆらゆらと,ゆらゆらと,飛び続ける。まるで,静かな夜にそこだけ,お伽話を,お祭り騒ぎを,繰り広げているように…。

 11日にバークレイシステムズ社は,スクリーンセーバーソフト「アフター・ダーク」のマック版を,Mac OS 9に対応させない決定を下したことが報じられた(MacWIRE ONLINEの記事)。アフター・ダークは最新OSでなされた変更によって動作しなくなっていた。だが,アフター・ダークの日本販売総代理店であるインフィニシス社は,同製品の日本語版を,独自にアップデータなどで存続させる方針を発表した。

 ウインドウズ版も発売されているアフター・ダーク。そちらではゲーム集の発売も発表された(Nikkei BP BizTech Newsの記事)。インフィニシス社はマック版も積極的に販売を続けていた。iMacに合わせた5色カラーでの発売など,いささか古びた印象のあるソフトに,プロモーションをうち,新規ユーザーを獲得しようとしていた。なのに,本家発売元のマック版撤廃宣言。10年の歴史を持ち,ある意味で,人々のパソコンに対する意識を大きく変えたソフトだから,いろいろな混乱がある。

 一昔前には,焼き付きを防ぐという目的があったにしろ,見ているだけで楽しいソフト,というのは奇妙な印象があった。DOSやBASICの画面がまだ多かった中で,計算することも,文字を書くことも,遊ぶこともできない,ただ見ていればいいんだという意味のなさを語りかけてくるソフトは,革命だったのかもしれない。そしてそれが,パソコンに向かう気持ちに,変な嬉しさを感じさせていた。そんなソフトだから,ぜひこれからも,あり続けて欲しい。そう,フライングトースターに乗って,どこまでも…。




  [1999.11.12]
  流通支配の法則


 ▼ドリキャス巡り、公取委がセガの販売会社を立ち入り検査(asahi.com)
  http://www.asahi.com/1110/news/national10042.html


 面白いソフトがあるから売れるのではない。たくさんソフトがあるから売れるのではない。売る,システムを構築できたからこそ,売れる。そのシステムが崩れるまでは,売れ続ける。と云う法則。

 ゲーム機ドリームキャストの販売をめぐり公正取引委員会は10日,セガ・エンタープライゼスとその販売会社セガ・ミューズなどを,独占禁止法違反の疑いで立ち入り検査した。公取委によると,セガ・ミューズは本体やソフトなどについて,小売店に販売価格を指示し,また中古品を扱った場合,取引停止にするなどして,販売を拘束していた疑いがもたれている。

 血で血を洗うシェア争いを演じて楽しませてくれている(^_^),ゲーム機メーカー3社だが,基本的には市場流通システムを普及させたものが勝利者となる法則がある。かつての任天堂しかり,現在のSCEIしかり。ある側面から見れば,ソフトの質だとか,量だとか,は2次的な問題でしかない。

 このニュースを聞いて,そんなものはSCEIならなかば公然とやってるじゃんと思った人は多いだろう(実際にSCEIは公取委の調査を受けてるし)。特約店制度を敷き,流通と引き換えに価格の固定,中古の撤廃などの圧力をかける。かつての任天堂のように問屋をかませるやり方よりリスクは少ないが,SCEIの強い権力はさらに強まる。勝ったものは権力を握れる,権力を握ったものは勝てる。その雪だるまを転がしていった,のはSCEIが生み出して,広めたもの。後を追うセガは,流通システムで常に弱い部分を見せてきた。今,崖っぷちでとるべき策は,ありや?




  [1999.11.11]
  パソコンなんていらない


 ▼IBMが新感覚のパソコンを計画 (CNET Japan)
  http://japan.cnet.com/News/1999/Item/991110-2.html


 パソコンを,最近なにに使いましたか? メールチェック? ホームページ作成? ウェブサーフィン? 画像や動画のダウンロード? そんなら,わざわざパソコンなんて,いらないんじゃないですか?

 米IBM社は来年初めに,新しいパソコンシリーズの発売を計画している。「EON(edge of the network)」と呼ばれているこのパソコンは,旧式のコネクタ・ポートの削除など機器構成の見直し,現行のデザインスタイルの放棄,より簡易な操作性の追及,などを目標にしており,さらにはウインドウズOSを搭載しないモデルも検討されている。

 ネットワークのためだけのコンピュータシステム,というものの存在を考えてみてもいい時期に来ているのかもしれない。実際に今,個人でパソコンを買う人のほとんどが,インターネットに接続すること_のみ_のためなのだし…。ハードでいえば,ポート類なんて,モデム・イーサーネットの接続と,あとはマウス・キーボードのためのUSBが1個,あとは音声入出力があれば,他はいらない。外付けハードディスクもプリンタもMOも使わないからSCSIなど余計なインターフェースはいらない。問題はハードよりもソフト。OSの中身で,ネットワークに利用するもの以外はいらない。ウインドウズのネットワークソフトを使えるようにするなら,使う部分のツールボックスだけ積んでしまえ(まぁ無理を承知で云ってみる)。

 MSオフィスも使えない。画像もGIFとかJPGとかPNGしか見れないし,細かい加工はできない。テキストはすべてHTMLとして保存される。そのままアップロードも可能。ホームページを作るためだけの機能でいい。パソコンがいつまでもパソコンでいる必要はない。「なんでもできるパソコン」という初心者に甘い幻影をいつまでも見せ続けるより,ネットワークにはこれで十分,というのを見せて欲しい。パソコンメーカーが,パソコンを捨てる姿,見たいね。




  [1999.11.10]
  冠を捨て大海原に飛び込む勇気


 ▼Windows go freeware!?(CountMac)
  http://www.pascal.co.jp/countmac/index.shtml


 ウインドウズとIEを抱きあわせていると云われて,どっちを取るかと迫られたら,そりゃ考えるまでもなくIEなのだ。バグの本家本元,人間には収拾がつかないまでに膨れ上がったウインドウズを抱えていることが,この企業をいかに痩せ衰えさせているか。

 マイクロソフト社の反トラスト法違反の事実認定で,このままいけば,MSは最低でも3社に分割されることになる。だが,判決より前にMSが,OS事業から撤退するのではないかという噂もある。これは,MSの社内文書でも検討されているオプションであることは確認されている。MSは,OSよりもインターネットにおけるサービス提供に事業の中心をシフトし,ウインドウズをフリーウェア(オープンソース化だろう)とすることも、その過程で考えているという。これにより無闇な会社の分割は避けたいというわけだ。

 先週金曜日の事実認定(過去記事)は,MSを100%,断罪するものであり,完膚無きまでにその罪を問うた(ZDNet Newsの特集)。あれを読むかぎりは実際の裁判では,相当厳しい制裁処置が下されることが予想される。MSの打つ手は,法廷闘争か,それとも司法省との和解か。どちらにしても煮え湯を呑まされることは間違いない。ならば,いっそのこと…。

 時は大きく動いている。OSというものの位置も変化している(過去記事)。ここまで大きく拡大したネットワークをさらに便利にするには,すべての作業を,ネットワーク上のOSを利用し,ネットワーク上のアプリケーションで行うカタチにすることも予測されている。ネットワークコンピュータは影が薄くなったが,アプリケーション・サービス・プロバイダの繁栄はその礎かもしれない。ウインドウズを手放せるならば,MSは今以上に大きな力を得られるかもしれない。もちろん,自らのいちばん大事なものを殴り捨てて,大海原に飛び込む,勇気,があればの話だが…。




  [1999.11.09]
  宇宙への回帰


 ▼ここまで進んだ惑星間インターネット構想(ZDNet News)
  http://www.zdnet.co.jp/news/9911/08/planet1.html


 電話などのボイスネットワークが地球を張り巡らすまで,いったい何年かかった? TVネットワークは何年かかった? それと比べたら,ワイヤードネットワークの進化速度の,異常さ,はすぐに気がつくだろう。人間が,そんなものを作り出せると思っているのかい??

 インターネットの父とも呼ばれるビント・サーフ氏は先月ホワイトハウスでのプレゼンテーションで,「2040年までには安定した惑星間通信バックボーンを構築できるだろう」と語った。2001年に打ち上げ予定の火星着陸船は,独自のインターネットサービスで地球と相互通信する。これにより火星と毎秒11Kbpsでデータをやり取りできる。将来的には,火星軌道上に静止中継衛星を飛ばすことで,1Mbpsでのデータ伝送が可能になり,地球に居ながらにして火星上を眺めることができるという。

 以前の記事でちょっとだけ名前を出したビント・サーフ(過去記事)。現在は,MCIワールドコム社のインターネット構造及び技術部門の上級副社長という役割だが,云わずもがな,ワイヤードネットワークの中枢神経である,TCP/IPを作り上げた人物だ。ニュースでは人間の話ではなく,ロボットとのやり取りの話になっているが,その先の,人間が宇宙へと出たときに気軽にやり取りができるネットワークを作りだすことは,いつか手を付けなければいけない問題だろう。

 だが,これは簡単に地球上のインターネットの拡大だろうか。電波っぽいが,もともと,ワイヤードの発祥の源には地球外の生命体との接触が噂される(過去記事)。そして人知を超える,普及と進化。常に,人間の目に見えないなにものかの存在が懸念される。それは,ネットワークの物理的な神,かもしれないし,人の心の底に眠るネットワークを求める願いかもしれない。または,ネットワークは,その発想を人間に与えた宇宙へ,回帰していくものかもしれない。




  [1999.11.08]
  エモーションハイブリッドアクアリウム


 ▼葛西臨海水族園,“ハイブリッド水族館”の実験開始(ASCII24)
  http://www.ascii.co.jp/ascii24/call.cgi?file=issue/1999/0427/topi01.html


 ハイブリッド携帯電話ハイブリッドメールハイブリッドカーハイブリッド住宅,果てはハイブリッドゴルフシューズハイブリッドハンバーガーハイブリッド猫耳娘(^^ゞ…。ハイブリッド最盛期だが,水族館に必要なものはなにか。中途半端なデジタルとのハイブリッド(混合)よりも,よりすべての感覚へと訴求するエモーションハイブリッドの構築の方が楽しそうだね。

 東京都葛西臨海水族園は,ホームページと携帯端末を利用した“ハイブリッド水族館”の実験を開始する。来園者は事前にホームページで見たい魚をチェックしておき,来園時は貸し出された携帯端末を持って観察する。端末には,事前にチェックした魚の水槽への順路や,自分の見ている水槽の説明などが表示される。また観察した魚の種類や時間などの情報が保存され,あとでホームページにアクセスし,確認することができる。

 結局は,今まで水槽の横に書いてあった説明が,モニタに映し出されるようになっただけという感じ。ホームページで予習や復習ができるって云うのも,あんまり使われるとは思えないし。なにより駅弁売りみたいなスタイルでモニタをぶら下げてるのは,全然スマートじゃない。ということで,さして注目を与える必要もなく,こんなものを大きくニュースで取り上げる編集者の気が知れない。ニュースの価値を見極められない頭の悪さよ:-P。

 だが,水族館や動物園,美術館などの施設がワイヤード上で展開されることは興味深い。どうせなら,すべてをワイヤードで運営してしまえばいい。実物を見なければ意味がないという意見もあろうが,どうせ水族館はガラス越しにしか見ることはできない。同じように,モニタ越しに広がる魚類の世界を構築すれば,それでいいじゃないか。ライブカメラなら,24時間の観察も可能だし。そして,ゲストたちにワイヤード独自の魚類の育成をさせ,シーマンのようにリアリスティックが感じられれば,魚という生物の意味をより強く感じられる。それ,を感じることができるエモーションハイブリッド水族館。楽しいと思うけど,誰か作ってくれないかな〜。




  [1999.11.07]
  「独占」という名の罪と罰


 ▼マイクロソフト商法を「独占」と事実認定 米連邦地裁(asahi.com)
  http://www.asahi.com/1106/news/business06010.html


 「独占」とは悪なのだろうか? 人は競うことを恐れ,他から追随されることを恐れ,その不安から逃れるために,自ら以外を排除してしまうこともある。その,孤独と不安を,罪とすることは,できるのか。

 世界最大のソフトウェア会社,マイクロソフト社に対する反トラスト法(独占禁止法)違反の裁判で,ワシントン連邦地裁は5日,マイクロソフト社がメーカー各社に圧力をかけ,ライバル社の弾圧を行い,消費者にも打撃を与えた,という事実認定を行った。早ければ年内にも判決で,独禁法違反の「クロ」になる公算が強まり,同社の強制的分割や,司法省か裁判所の監視下配置などの処分が予想される。

 すぐにビル・ゲイツ会長は会見し,この業界で独占など簡単にしていられないんだ,という発言をしている(asahi.comの記事)。しかし,株価の大幅な下落や,なによりも世間からのマイナスイメージに悩まされていることから,司法省との和解の道を探っている(ZDNetの記事)。多額の和解金や,事業内容の修正などで有罪判決を逃れたいということだが,司法省はまったく応じる気がないらしい。まっ,散々強気な発言をしてきたMS相手だから,当然だろうが。

 だが,この問題で常に云われてきた疑念もある。これはビル・ゲイツの商法が完全に否定されたことでもあるが,それを「悪」であるとして罪と罰を与えるのは,やっかみを含んだ高圧的な態度と思えなくもない。ビル・ゲイツの表情を見てみればいい。常に何かに恐れ,言葉には自信がなく,動作も物怖じている。その姿が,この商法を生み出した。そこには,人間の本質的な弱さが見え隠れしている。それを,一言の「悪」,で言い表すことはできない。




  [1999.11.05]
  素晴らしき「誰もが」の世界


 ▼情報建築家の時代?(HOT WIRED Webmonkey)
  http://www.hotwired.co.jp/webmonkey/review/index05.html


 あなたは,なにになりたい? 小説家? 人気歌手? スポーツ選手? 花屋さん? トップアイドル? 宇宙船のパイロット? 学校の先生? その思い,ここでかなえてみては?

 十数年前,『サーチャーの時代』という本が出版された。コンピューターの導入が進み,データベースが整備されるとともに,それを検索する技術者が花形職業になると考えられた。だが,サーチャーの時代は訪れなかった。検索エンジンを利用して「誰もがサーチャー」という時代が到来した。そして誰もがウェブ上でサーチャーとなるのなら,情報を発信するすべての人たちは,情報を分かりやすく整理する「誰もが情報建築家」でなければならない。

 ウェブ,の前にパソコンの性能の格段の進化は「誰もが…」いろいろなことができることを可能にした。たとえば,DTPのシステム。専門的な組版や印刷の知識が必要で,写植屋などの専門知識技能者が必要だった出版システムは,DTPソフトを利用することで,誰もが製本作業を行うことができるようになった(最低限の知識は必要だけど…)。すべてをデータとしてまとめ,後は印刷所に渡すだけで,大手出版社の作るものとおんなじものができてしまう。DTMもそう,誰もが,必要な音源でフルオーケストラの演奏でも可能だ。

 そしてウェブでは,誰もが情報の発信者になることができるし,誰もが情報にアクセスすることができる。規律を持った平等制があって,初めてワイヤードは成り立っている。小渕内閣総理大臣のページ小渕ふぁんのぺーじ(^^ゞも,上下関係はない。そして,誰でも,なんだってできる。リアルではできない,そんな確信があるというのはステキなことだネ。




  [1999.11.04]
  次の次のOS


 ▼貴重な教訓を学んでくれたMicrosoftに心からの感謝を!(PCWEEK ONLINE)
  http://www.zdnet.co.jp/pcweek/news/9911/01/99110133.html


 ウェアラブルコンピューターが普及したとき。逐次,感覚の情報を処理するためには,現在のOSはまったく役に立たない。AIBOに積まれているようなリアルタイムOSが,コンシューマーの日常となる日も,来るかもしれない。

 ウインドウズ2000の出荷を延期してくれたことに対して,心から謹んで感謝を捧げたい。ビル・ゲイツも,そしてマイクロソフト社も,ウインドウズ98で貴重な教訓を学んだと見える。今回の出荷延期を報道メディアが大きく取り上げ,多くの人々が怒りの目を向けている。だが,遅れれば厳しく非難し,間に合ってもバグを見つけてそれを口実に罵るだろう。結局,どちらにしてもビル・ゲイツに勝利などありえない。

 ウインドウズ2000の発売は来年2月17日という発表があった(CNET JAPANの記事)。今年に入ってからMSの幹部たちは,ウインドウズ2000を年内に出荷すると約束してきた。その面目を保つため,ガムシャラに年内に出荷するのではという危惧は皆が抱いていた。それがなくなったのは,ほんとに素晴らしい判断,と思いたいが…。MSとしては,一般向けの出荷は2月17日だが,パソコンにプリインストールされるための製造工程向けは,今年12月中にメーカーに渡すとのこと。これをもって「年内に出荷した」ということになるらしい。まぁ年内出荷を約束していたのもユーザーにじゃなくてメーカーに対してだからね(なんか騙されてる気もするけど…)。

 流れの速いこの業界は,今までOSというコンポーネントが支配してきた。だが,それが未来永劫続くとは誰も思ってない。もしかしたら,アップルにもMSにも,次の次のメジャーアップグレードはない,かもしれない。すべてをサーバーによって管理するネットワーク・コンピューターは個々のパソコンのOSを消すだろう,完全なワイヤード・ネットワーク端末としての新しいOSは生まれないだろうか,そしてウェアラブル・コンピューターにフィットしたOSを作り出すのはいったい誰になるのか? 現在のOSのごたごたを,遠い目で見つめながら,次の次を考えてみる。(ネタ元:ZSNetさん)




  [1999.11.03]
  冒険心


 ▼ジム・クラークを通して描く(はずだった)シリコンバレー物語(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/3289.html


 ネットスケープ社の創業発表の席には,二人の男が並んでいた。一人が,このときもうすでにナビゲーターのソースコードで頭がいっぱいだったマーク・アンドリーセン氏(過去記事)。そしてもう一人が,ジム・クラーク氏。失敗を生まない強い信念を感じさせる,冒険することを決して恐れない,そんな不思議な魅力に,包まれて。

 マイケル・ルイス氏の新著『ザ・ニュー・ニュー・シング』は,米国シリコングラフィックス(SGI)社や米国ネットスケープ社,そして米国ヘルシオン社などの会社を設立,成功に導いたジム・クラーク氏が主人公の一人だ。この本では、未来の様相を変えるアイディアへの仮借なき探求において,クラーク氏が予言者という役割を負っている。また,出資者との力関係を変えた,革命的なエンジニアを率いた自由市場のレーニンという姿も,彼に重ねることができる。

 SGIを3Dグラフィックスワークステーションのトップへと運び,そしてネットスケープで一世を風靡した男。今も,クラークがいる会社ならきっと成功するという確信がシリコンバレーにはあるという。クラークは今年の上半期に,ヘルシオン社をマイクロソフトも出資するほどに成長させた(ZDNet Newsの記事)。ネットスケープ時代,ことあるごとにクラークはMSを「悪の帝国」と称していたのだが。

 移り気,気まぐれ,無節操,飽き性…,という評価は,その裏面である。すでにヘルシオン社への興味も失せたようで…。今は,筆頭株主である高額所得者向けの資金運用サイトのマイCFO・コム社や,フィルム処理市場を狙い新設したシャッターフライ社に心血を注いでいる(ZDNet Newsの記事)。彼の,見方を変えること,やり方を変えること,そしてそれを信じて,どこまでもどこまでも突き進む姿勢は,見習うべきものが多いかもしれない。冒険をしない経営,冒険をしない人生,冒険をしない将来…。そんなものに不安を覚えたら,クラークの生き様を,笑いながら楽しむのも,悪くない。




  [1999.11.02]
  なじみ(743)になった私財法


 ▼ニフティ「メンバーズホームページ」が24時間以上利用できず(Impress INTERNET Watch)
  http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/article/1999/1101/nif.htm


 人口の増加から分け与える田んぼが不足したため,政府は開墾を奨励する目的で743年に墾田永年私財法を制定した。これは,自分で開墾した土地は,自分のものにしてよいという法律。しかしこれは結果的に,律令制の崩壊へとつながった,とさ。

 ニフティが提供するホームページサービス「メンバーズホームページ」でトラブルが発生し,10月31日の午後3時50分頃から現在まで24時間以上,ホームページの閲覧、各種設定などの機能が利用できない状態だ。同社によると,原因は,ハードウェアのトラブルとのこと。

 このニュースを取り上げようと思って,何度かポケットニュースさんなどにアクセスしていたら午後8時22分ごろから繋がるようになった。これで復旧したようで,28時間半ほどのトラブルということか…。ワイヤードの1時間は,リアルの1日に相当するというから,1ヶ月近くもサービスをほったらかしにするのがどれほどのことか,考え直したほうがよさそうだ。ニフティとインフォウェブが統合した「@ニフティ」の船出の日に,お粗末なことこの上ない。

 11月1日には,トライポッド ジャパンが開始された(ASCII24の記事)。日本でフリーウェブスペースの座をジオシティーと争うにはちょっと出遅れてしまったが,期待したい(いろんな意味で…)。ワイヤードで自分の土地を持つことは簡単だ。わずかな広告スペースという税金を出すことができれば,自らの身銭を切る必要はない。自ら耕した土地は,自分のものになる。だからこそ,お金をもらって土地を管理することを生業としているなら,万全,繊細の注意を払わなくちゃいけない。そうしないと,ワイヤードの土地制度にも大きな変革が起きてしまうヨ。




  [1999.11.01]
  上位階層としてのワイヤード


 ▼公安調査庁 名簿大量流出(2ch BBS..)
  http://www.2ch.net/test/readall.cgi?bbs=news&key=941209289


 「ワイヤードは,リアルワールドの上位階層とみるのが適当です。…リアルワールドの現実など,ワイヤードに流れる情報のホログラムでしかありません」。情報があって,現実がある,という考え方。

 共同通信が報じたところによると,公安調査庁の職員,約600人分の自宅住所や携帯電話番号などのデータが,インターネット上の複数のホームページに掲載されていることが29日,わかった。公安調査庁広報連絡室では,「内部調査しているが犯人を特定できない。内容はおおむね正しい。世の中にはいろいろな人がいるので,職員の家族に迷惑が掛からないように注意喚起するとともに,内部の文書管理を徹底する」と述べている。

 データはいろいろなところに流れているが,この掲示板の転載はまだ生きている(コピー)。数カ月前にも公安のリストが流れたことがあったが,今回はその比ではない量。内容が内容なだけに,完全に内部からの情報漏洩だろう。なにを間抜けなことをやっているのかと,ほとほとあきれるばかり…。

 高いところから見渡すと,細かいところまでよく見晴らせる。ワイヤードという高台からリアルワールドの地を見下ろすと,今まで見えなかったものが見えてくる。手にとれなかったものが手にとれる。上位階層であるワイヤードから見たら,この現実など,ただ情報を体現しているフィールド,でしかないのかもしれない。




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